最新更新: 2008/05/05 13:55
アメリカの医療保険制度は近年ますます複雑になっており、国民全てが日本のように何らかの保険で保護されている訳ではありません。それぞれの職場によって契約加入している医療保険によって、入院手術をカバーするのは当然としても、外来診察、治療、薬、歯の治療、検眼、正常出産等の費用をどこまでカバーするか千差万別なので、必ず職場の医療保険コーディネーターに確認してください。更に加入した保険会社によって各医療センターとのネットワークが異なる場合も多く、自分の希望する医師あるいは総合病院にかかれない場合もままあります。現在この国で医療保険なしで一旦病気あるいは事故に見舞われたら悲惨なものです。
常時医療保険カードは携帯しましょう。
急病や大怪我の場合は911で救急車 (Ambulance)を呼びます。ここでは救急医療制度がしっかりしているので、患者の状態により近くの病院のEmergency Departmentに運ぶかそれより設備の整った総合病院に移送するかを判断してくれます。それほど重症でない場合は個人で直接近くのEmergency Hospitalへ行っても勿論診てくれます。何れの場合も緊急性の高い順にケアーされるので、出来る限り症状を明確に伝える事がたいせつです。
ファミリードクターは日本の開業医に当たりますが、それぞれの医師が日本のように自分の医院をもって居るのではなく、オフィスで患者を診察し、 必要があれば自分の所属する入院設備のある病院に入院させるか、自分の専門以外の詳しい検査が必要な場合や手術が必要な場合は患者を専門医に送り、彼等がその後の全てをケアーします。但し検査結果、手術結果等は常にファミリードクターに報告され、その後の一般的な健康管理は再びファミリードクターのもとに戻されるのが通例です。したがって緊急時以外は直接専門医や総合病院へ行くよりもファミリードクターに診てもらい、彼等にその後の振り分けをしてもらうのが賢いやり方だと思います。そのためには仕事場や近所のアメリカ人、日本人のかかりつけの医師あるいは評判の良い医師を紹介してもらい、健康診断、風邪等の治療、予防接種等を受けて日頃から顔見知りになっておく事が大切です。大多数のファミリードクターは内科医ですが小さい子供の居る家庭では小児科医の方が必要性が高いかも知れません。緊急時以外全て予約制です。あらかじめ電話で日付と時間を確かめて下さい。
初めての診察時には、生年月日、ソーシャルセキュリティナンバー、本人、家族の病歴、投薬歴、アレルギーの有無等を詳しく聞かれます。あらかじめメモにして出来るだけ多くの情報を、系統立てて提供することが上手な医者のかかり方であり、自分の為である事を御忘れなく。
薬が必要な場合には処方箋(Prescription)を書いてくれますので近所の薬局(Pharmacy, Drugstore)で購入します。抗生物質をはじめ大多数の薬は医師の処方箋が要ります。但し家庭常備薬は処方箋無しで購入出来ます(Over The Counter Drug)。薬局の薬剤師(Pharmacist)は文字どおり薬の専門家です。コンピューターを駆使して薬剤の相互作用(Interaction) をはじめとしていろいろ相談にのってくれますので気軽に利用しましょう。(家庭常備薬の項参照)
より詳しい検査や専門的な治療が必要な場合はファミリードクターから専門医に紹介されます。但し歯科医(Dentist)にかかりたい場合はファミリードクターを通す必要はありません。知人の紹介等で特に希望の専門医がいる場合には、早めにドクターに申し出る事が大切です。
アメリカでは、医師の専門分野が細分化されているので病気によっては数人以上の医師にかかる必要がある事もあり診察、治療、支払い等個別に対応しなければなりません。手術あるいは病気の治療に関して質問、疑問のある場合は自分が十分納得出来るまで説明を受けて下さい。言語、習慣の違い等で良く理解できない場合もままあると思いますが、遠慮は無用です。 残念ながら、ここクリーブランド近郊には日本語で対応出来るファミリードクターが皆無に近いので、出来れば親しいアメリカ人に同席してもらって話を聞くのが良いと思いす。
英語の勉強は病気以外の取り返しのつく場面でどんどんやりましょう。 それでも不安がある場合には、この国には、セカンドオピニオン(Second Opinion)というシステムがポピュラーで医師に申し出れば全ての此れ迄の検査その他を提供してくれます。 もしこれを嫌がる医師がいたらさっさと転医した方が善いでしょう。
歯の病気はファミリードクターを通さず歯科医に直接かかりますが、選択の方法は前に述べたのと同じです。歯科医もそれぞれの専門分野があり、親知らずの抜歯(Ectaction)とか歯槽膿漏に対する手術(Gum surgery)とかはプライマリー歯科医が専門医を紹介してくれます。前に述べたように保険によってカバーが異なり、自費で払う部分が多い事があるので治療前によく確認しましょう。
法律で定められた予防接種を受けるのは日本と同じですが、アメリカでの接種回数及び接種間隔接種開始年齢によって決まります。英語の予防接種証明は、日本の保健所で発行してもらえます。又母子健康手帳の英語翻訳版も出版されていますので、日本語のものから書き写して使用しても良いでしょう。
翻訳版母子健康手帳 ――― 問い合わせ先
〒162 東京都新宿区市ヶ谷佐土原町1-1
保険会館別館JOICEP
日本の様にどこからも通知はきません。入園、入学 (高校、大学でも)の手続きの際に予防接種の記録がないと通園、通学を認められません。一応のガイドラインを表に示しますが居住地区等によって多少の違いがあるので医師に直接聞いてください。添付の子供の予防注射についてを参照して下さい。
妊娠したと思ったらファミリードクターの診察を受け、産科医(Obstetrician)を紹介してもらいます。現在薬局で自分で妊娠の有無を簡単に検査出来るキットを売って居るのでこれを利用し確認をしてから診察を受ければ手間が省けます。検診は、正常妊娠ならば月1回、9ヶ月を過ぎたら毎週になります。
特に初産の人を対象に病院あるいはコミュニティーセンター等でプレネイタルクラス(Prenatal Class)があり、出産の際のトレーニング、出産後の赤ちゃんの世話の仕方等を細かく指導してくれます。夫婦同伴が必要なクラスも多く大変良い事です。
産婦人科医は24時間態勢で緊急事態に応じてくれます。異常を感じたらすぐに連絡、指示を仰ぎましょう。正常の場合は、陣痛が5分間隔ぐらいになったら病院に連絡し入院します。無痛分娩にするか自然分娩にするかは、前もって担当の医師と良く話し合って決めて置く事が大切です。出産には夫が立ち会うのが普通です。正常分娩の場合入院期間は3日程です。
産後は安静第一とした日本の習慣と異なり、こちらでは、体調にあわせて出来るだけ早く普通の生活に戻れるよう、又帝王切開の場合でも術後の合併症を防ぐ意味からも、産後あるいは術後1-2日目から歩行を開始する事が多いので、驚かないで下さい。生まれた赤ちゃんのケアーは小児科医の担当になります。
以上日本とアメリカの医療情勢は似ている所も沢山ありますが、根本的に異なっている事は自分の健康は自分で守らなければいけないという事です。 日頃から何かが起こった時の事を想定して、家庭医学書等で勉強するか、予行練習を家族で時々やってみるのが良いのではないでしょうか。
米国の家庭医学書で絵あり表あり健康に関する情報を最も解りやすく説明してくれると思われるアメリカの医師会から発行されている本を紹介します。
THE AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION
FAMILY MEDICAL GUIDE
RANDOM HOUSE, NEW YORK
ここJANO領域では、米国の医師免許を持ち、直接治療に携わる事の出来る医師は限られておりますが、それぞれの専門分野で会員諸氏の連絡があれば何らかの援助をする事にはやぶさかではありません。
現在Cleveland在住の医師は下記のとおりです。
Dr. Yoshiro Takaoka, M.D.,Ph.D.: 名古屋大学医学部、同大学院卒、医学博士 ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部脳神経外科教授 脳神経外科専門医 Div. of Neurosurgery Metro Health Medical Center 2500 Metro Health Drive Cleveland, Ohio 44109-1998 Phone : 216-778-4258 Fax : 216-778-3300
Dr. Masahiro Morikawa, MD, MPH: Case Western Reserve University School of Medicine Dept. of Family Medicine, Assistant Professor Director of International Health Program American Board of Family Practice 認定医 日本外科会 認定医 日本救急医学会 認定医 クリニック:University Hospital of Cleveland Bolwell Building Rm. 1200 予約: 1-216-844-3944 オフィス直通: 1-216-844-3207