医療の受け方基本の基本

医療の受け方基本の基本

◊ PCP (Primary Care Physician)

アメリカの現在の医療システムでは、基本的にPCP(Primary Care Physician)を決め、そこで一般的な健康診断(身体検査及び基本的な血液検査などでWell adult care、Well child careとよばれます)と予防接種、日常の風邪を始め、体全体のなんらかの症状、精神的な症状について相談します。予防医学を担当するのも重要な役割で、大腸ファイバーやマンモグラフィーなどをオーダーするのもPCPです。また、禁煙、禁酒、薬物乱用治療も相談できます。専門でいうとfamily physician(総合診療医)かgeneral internist(内科医)、子どもの場合は general pediatrician(一般小児科)にもお願いできます。Family physicianの場合、鍼灸(acupuncture)などを取り入れて治療する(Complementary medicine、Alternative medicine)ドクターもいます。

女性は、PCPとは別にOB/GYN(産婦人科医)を決めて、Pap smear tests (子宮頸部細胞診)など定期的に診察してもらうこともできます(PCPもこうした検査・診察を一般的にやっており、費用がOB/GYNドクターより安い)。

PCPのところでできる治療はそこでやり、さらなる治療が必要な場合は、PCPの紹介により専門医の受診を受けます。専門医での受診や手術の経過は全てPCPに報告され、PCPのところでその後のフォローアップを継続することもよくあります。

アメリカのFamily physicianは、周産期外来から出産を始め(お産をやるかどうかは医師にもよるので要確認)、新生児から高齢者まで家族全員のケアをします。

Family physicianにかかる利点は、

・耳、目、皮膚なども含め医学全般について相談できる(Comprehensive care)

・慢性疾患など複数の病気を持っている場合、同じ医師にかかるので、全体を理解している(Continuity of care)

・精神衛生面の相談もできる(Psycho-social care)

・専門診療科との調整を行う(Coordination of care)

などです。

医師不足地域では、physician assistant、nurse assistantが医師に代わって患者を診ていることもあります。彼らは、そのために専門的な訓練を受けています。

PCPは、具合が悪くなってからよりも、早めに「PCPになってほしい」ということで予約して会っておくのがお薦めです。その時点で気になることを相談したり、何らかの理由でそのドクターとは合わない、好ましく思えないという場合には、また別なドクターを探す時間もあるので、実際に検査や治療が必要なときに安心です。具合が悪くなって予約すると、数週間先になることもあるということを心に留めておいてください。

◊医療保険

ご存知のように、アメリカでは各個人が勤務先その他の事情で民間会社の保険を持っています。医療にかかる前に、一番先に知っておかないといけないのは保険のカバレージです。それにより、受診できる病院、ドクターも違ってきます(もちろん、全て自己負担するのであればどこに行くのも問題なし)。どのような治療がカバーされ、どのような予防的な医療がどのくらいの頻度で受けることができるか、どの薬がどのように安く手に入れられるか、自己負担する費用はどのくらいかなど、よく確認しておくことが重要です。

◊急に具合が悪くなった時

救急にあたる施設として、Emergency roomとUrgent care centerがあります。

Emergency roomは日本と同様、総合病院などの救急部で、命にかかわるような急を要する状態などの場合に駆け込むところです。24時間開いています。

Urgent care centerは、外来ベースで予約なしに治療する施設で、さまざまな検査もできます。重症とわかると、そこから救急に送られることもあります。子どもの高熱やひどい喉のみ、やけどほか外傷、咳や下痢が止まらないなどなど、手持ちの薬では効かないけれどERに行くまでもないような場合に行きます。場所はあちこちにありますが、まずは最寄りのUrgent care centerの場所と時間を確認しておくことをおすすめします。24時間体制ではありません。

Emergency roomはたまに非常に混雑していて、数時間待たされるということも稀ではありません。胸が苦しいなどの場合は、遠慮せず911に電話して、救急車で駆け込んですぐに診てもらいましょう。

2013年5月